深夜の首なしライダーの話
「バイクが接近してくる日」2002年6月泊日深夜2時すぎのことだ。
秋田県秋田市在住のSさん(幻歳)が車で帰宅途中、突然、背後から接近してくるバイクがミラーに映るのを見た。
真っ暗な夜道に、ふってわいたようにバイクが出現したのである。バイクはぐんぐん接近してくると、そのまま鈴木さんの車を追い越していった。
「首がない」バイクのライダーには首から上がなかったのだ。
バイクはそのまま疾走して閣の中に消えていった。
幻覚ではない。たしかに頭部がなかった。また途中で出会うのではないか、という恐怖感を抱いたまま、Sさんは、アクセルを踏み込んで帰路をいそいだ。
翌日、友人たちに、話したが黒いフルフェイスヘルメットをかぶっていたんだろうと一蹴された。実際、夜間に黒いフルフェイスヘルメットをかぶって走るライダーもいるので、誤認する場合ある。だが、Sさんは、首なしライダーだったと主張して止まなかった。
実は、Sさんが恐怖の体験をした約1か月前の5月、その現場近くでバイク事故があった。侵入防止用のロープに気づかず、突っ込んでしまったバイクのライダーの首が張られたロープで切断されるという痛ましい事故が起こっていた。
「事故死したライダ!の亡霊かも・・・。いや、それって、首なしライダーだよ」
知人のひとりが、思い出したようにいった。首なしライダー。それは、頭部が欠損したパイクライダlの亡霊に対して、つけられた名であり、それにまつわる怪談話に登場する主人公のことだ。
深夜の首なしライダーの起源
その噂が広まったのは、1979年のオーストラリア映画『マッドストーン」(日本では1981年に公開)だとされている。映画では、道路に仕掛けられたピアノ線でライダーの首をはねとばすシーンがあり、これがバイク事故にまつわる噂にからめた首なしライダー伝説を生んでいったともいわれている。日本では、こうだ。道路にピアノ線が張られて、運悪くそこを通ったライダーの首が飛び、それを薄笑いを浮かべながら犯人が眺めている。
その事件現場を白い車で通ると、首のないライダーに遭遇するという。犯人は白い車に乗っていたので、成仏できないライダーの怨念が、首なしライダーとなって犯人の乗った車を探しているのだという。これが、日本各地の道路に伝わる、首なしライダーの基本的な話のパターンである。
首を跳ばしたのは、変質者や愉快犯が仕掛けたピアノ線ということになっていたり、暴走族同士の抗争で、対立するグループのメンバーの首を飛ばす目的でピアノ線の毘を仕掛けたというもの。
それから、暴走族の騒音に怒った近所の住民が妨害目的で道路の張ったロープに、首をはねられてしまう、などのバリエーションがある。
深夜の首なしライダーの真相
そして首なしライダーは、なくした自分の首を探しているという話だ。
首なしライダー伝説では、首を失うのはたいてい暴走族だ。彼らの存在をよしとしない住民たちの、「人の迷惑を無視した行為を繰り返していると、必ずやその報いを受ける」という怒りと教訓が、首を失うという、悲惨な結末を代弁しているのかもしれない。
都市伝説の範時なのかはかわからないが、鉄道関係者から聞いた話に、こんなものがあった。みじん人が列車に飛び込んだ際、体は微塵になってしまうが、奇妙なこと、飛散した体とは別に、首だけはきちんと立って残っているそうだ。