客の消えるブティックの話
男女や女性同士のカップルが海外旅行に出かけるとき、警告としてよく使われるのが客が消えるブティックの話だ。話の中身はこうである。
場所は、たとえば香港。男女の若いカップルが、狭い露地裏にあるこじゃれたブティックに入る。
女の子の気に入った服があり彼女が試着している問、相方の男は外に出てウインドーショッピングしてから一戻ると、庖に彼女の姿がない。
居員に聞いても「そんな女は知らない」という。
「そんなはずはない」と、届員に詰め寄る男。
「そんな客は来なかった」
一点張りの庖員。結局、男は泣き寝入りをするしかない。
消えた彼女は、2度と戻って来なかった。これが、有名な都市伝説「客の消えるブティック」である。
客の消えるブティックの話の共通点
消えるのは女性だが、カップルばかりでなく友人同士の相方の場合もある。
事件が起こるのは、たいてい海外旅行中だ。消えた女性の行方だが、これはさまざま伝えられている。
多いのが、売春宿や闇奴隷市場に売られてしまう話。
中には、先述のダルマ女という悲惨な末路をたどるとか、臓器売買に利用される、という話もある。
筆者も、叩年代にこの噂を確かラジオで聞いた事があった。それは実際に、日本人夫婦の間で起きた出来事として語られていた。
とこの都市伝説の元ネタは、つまり、こうだ。
客の消えるブティックの起源・真相
フランスが発祥の地とされている。
1969年、フランスのオルレアン地方で「ブティックに入った女性が次々と行方不明になる」という噂が流れる。
女性が消えるブティックは全部で6軒あり、これのすべてがユダヤ人の経営だった。
だが、実際には女性が消えるという話は、根拠のない噂話で、6軒のブティックでそんな類いの事件は一切起きてはいなかった。
これが「オルレアンの噂」といわれるものだ。
ところが、この噂を信じた市民たちはユダヤ人に対して敵意を顕わにし、暴動寸前の騒ぎにまで発展したという。
そしてこれを鎮めるために、新聞が一役買うことになった。
「この噂は反ユダヤ主義者の陰謀である」そう報道すると、事態はたちまち鎮静化に向かったのだ。じつは、これには裏話があった。
この新聞報道自体が、騒ぎを鎮めるために流された偽情報だったというのだ。
しかしその後、この話がきっかけで、フランス各地で「ブティックで客が試着室から消える」という話が生まれたという。